構造分析
VIVANT2は第1シーズンを裏返している?
立場が変わる裏返し
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第13話まで見て違和感を覚えた人は多いはずです。この展開、どこかで見たことがある。
既視感の正体はこれです。VIVANT2は、第1シーズンと同じ構造を左右反転させて再演しています。
第1シーズンとVIVANT2の対応
| 第1シーズン | VIVANT2 |
|---|---|
| 野崎が乃木を追いかける | 乃木が野崎を追いかける |
| 乃木が別班の仲間を撃ち、テントに潜入した | 野崎が仲間を売り、どこかへ潜入している(可能性) |
| ノコルにとって親友だったゴビが、ノコルを裏切った | 乃木にとって弟のような黒須は、どうなるのか |
| アリ(テントのモニター、尋問を受ける) | 新庄(テントのモニター、尋問を受ける) |
| 山本巧(丸菱のモニター、排除される) | チョッキー(元モニター、確保される) |
| ベキが上原を狙う(公安への復讐) | 上原が襲撃される(VIVANT2) |
| 新庄が公安を裏切り、ベキを逃がした | 野崎が別班を裏切り、5人を消した |
| 乃木の正体を探るため、公安が乃木の経歴を洗う | 野崎の正体を探るため、乃木が野崎の足取りを洗う |
| 乃木が父の正体(ベキ)に行き着く | 乃木が相棒の正体(野崎)に行き着く |
| ベキの復讐は40年かけて準備された | 野崎の動機は一言も語られていない |
| 丸菱の山本が敵側のモニターだった | 丸菱の長野が味方側の別班員だった |
| テントが解体され、幹部が日本へ移送された | 別班が解体されかけ、班員が国外へ運び出された |
最後の行は無視できません。第1シーズンでベキが標的とした上原は、内閣官房副長官であり元公安部外事課の人物でした。同じ上原史郎がVIVANT2のキャストにも名を連ね、そして襲撃されています。公安への報復という主題が、二度繰り返されていることになります。
なぜ「反転」に見えるのか
一つずつは偶然に見えます。しかし1行目と2行目が同時に成立していることが重要です。
第1シーズンで乃木は、仲間を撃って敵の懐に入りました。視聴者はその時点で乃木を疑い、後から意味が反転した。まったく同じ形が、今度は野崎で起きています。
作品がこの手を二度使うなら、答えも同じはずです。つまり野崎は潜入している。潜入説を構成の面から支えるのが、この対応表です。
ただし単純な繰り返しではありません。第1シーズンでは、乃木は撃つ前に相手を選んでいました。死なせないための計算があった。
野崎の場合、売られたのは別班という組織そのものです。個人ではなく仕組みを差し出している。規模が一段大きい。同じ形でも代償が違います。
黒須をめぐる懸念
対応表でいちばん不吉なのが3行目です。
第1シーズンで、ノコルは親友のゴビに裏切られました。フローライトの採掘権をめぐる話で、ゴビはワニズと結託していた。親友による裏切りは、すでに一度描かれています。
乃木にとっての黒須は、ノコルにとってのゴビと同じ位置にいます。誰よりも慕う相棒。そしてVIVANT2は黒須の拉致から始まりました。
拉致された人間が戻ってきたとき、同じ人間とは限りません。この反転が続くなら、次は黒須が乃木の側から離れる展開も考えられます。
根拠は薄いので憶測にとどめます。ただし作品が「大切な人の裏切り」というモチーフを反復していることは、第13話で証明されたばかりです。野崎がそうでした。
いちばん強い反転 運び出される方向
対応表の最後の行が、この記事でいちばん言いたいことです。
第1シーズンの終盤で起きたのは、テントの解体と、幹部の日本への移送でした。ベキ、バトラカ、ピヨの3人が国外から日本へ運ばれた。国家の側が非合法組織を回収する動きです。
VIVANT2の冒頭で起きたのは、その正確な裏返しです。別班員が病院から連れ出され、国外の5か所へ運び出された。非合法組織が国家の側から剥ぎ取られる動きになっています。
運ばれる方向が逆になっているだけでなく、運ぶ側と運ばれる側も入れ替わっています。第1シーズンで移送を担当したのは公安であり、その護送を利用して逃がしたのが新庄でした。VIVANT2で運び出しを主導していたのは、同じ公安の野崎です。
公安は二度とも、運搬の場面で裏切っている。この形が二度続いたことを偶然と見るのは難しい。
反復されているのは「大切な人の裏切り」という一点
対応表を眺めていると、個々の対応より先に共通の型が浮かびます。この作品が二度、三度と繰り返しているモチーフは一つです。
- ノコルにとっての親友ゴビ
- 乃木にとっての父ベキ
- 野崎にとっての部下 新庄
- 乃木にとっての相棒 野崎
四度目です。しかも一度ごとに、裏切る側と裏切られる側の距離が近くなっている。友人から、親子へ、上司と部下へ、そして相棒へ。
この距離がさらに縮むとしたら、次に残るのは自分自身しかありません。乃木には「F」という別人格がいます。五度目の裏切りが乃木の内側で起きるという形は、構造としては用意されています。根拠のない推測なので憶測にとどめますが、対応表を伸ばしていくと、その方向を指してしまう。
乃木も全体像を知らされていない
反転の中身をもう一段掘ると、主人公の位置が変わっていることに気づきます。
- 丸菱商事の専務が別班員だった。乃木は3年間それを知らなかった
- 別班員は表の職業を持ったまま各地に散っている
- 司令の上に、司令ですら逆らえない権限がある(コラボCMが示した階級)
「別班員だから全部知っている」は成り立ちません。別班員ですら知らされていない情報があり、指揮系統も一本ではない。
第1シーズンで乃木は、敵を見抜く側にいました。VIVANT2では見抜かれる側、あるいは動かされる側に回っています。逃げ切ったつもりの新庄が別班の掌の上だったように、乃木自身も誰かの掌の上にいるかもしれない。
そうなると、この作品で最も厄介な敵は乃木より強い人物ではありません。乃木に、自分が誰と戦っているのかを錯覚させる人物です。第13話で乃木が向けられた先が野崎だったことも、その枠で読めます(野崎は煙幕かもしれない)。
反転していないもの
公平のため、当てはまらない部分も書きます。
- 第1シーズンの舞台はバルカ中心。VIVANT2は5か国以上に分散しており、地理的な構造は反転ではなく拡散
- 第1シーズンの敵はテントという明確な組織。VIVANT2の敵はまだ姿が見えていない
- AIハヤトのように、第1シーズンに対応物がない要素も増えている
つまり人と人の関係はひっくり返り、舞台だけが大きくなっています。同じ形の関係を、より広い場所でもう一度やっている、ということです。
第14話以降で反転構造を見極めるポイント
この対応は、次の展開を考える手がかりにもなります。第1シーズンとの対応を追うと、次の展開を考える手がかりになります。
第1シーズンの終盤で何が起きたか。乃木が父を撃ちました。反転させると、乃木が撃たれる側です。あるいは、撃つべき相手が父ではなく兄のような存在に変わる。
どちらにせよ、最終盤で乃木が銃を向ける場面は用意されているはずです。向ける相手が誰かは、最終話の予想で扱いました。
両シーズンの場面を見比べる
第1シーズンとVIVANT2の場面写真は、公式サイトの各話ページで確認できます。
画像の転載は行っていません。リンク先の公式ページでご確認ください。
配信情報
第1シーズンとの比較
この対応表は、第1シーズンの該当場面を思い出しながら見ると分かりやすくなります。第1シーズン全10話とVIVANT2はU-NEXTで見放題配信されています。
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参考・出典
- 日曜劇場『VIVANT』第1シーズンおよび第11話・第12話・第13話の放送内容
- 日曜劇場『VIVANT』公式サイト 登場人物
- 構造の対応という着眼点は、SNS上で共有されていた論点を再構成したもの。個別の投稿は転載していない