VIVANT / 第1話の見返し
アディエルはなぜ戻ってきたのか
見返す一話、別の顔
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第1話で、アディエルは乃木をある地点まで案内し、そこから先は行けないという趣旨のことを告げて別れます。
ところがそのあと、ジャミーンを連れて馬で戻ってきます。行けないと言った場所へ、わざわざ。
第19話で、テントが7年前にエリシャの娘プリシャを連れ出していたと語られました。アディエルが連れていたジャミーンと同じ9歳です。アディエルが本当の父親だったのかという問いが新しく加わりました(プリシャ・ママドフとは誰か)。
確認できること
- 第1話で、乃木は自分が関わった会社を追ってバルカへ渡り、アディエルの案内で移動している
- アディエルは途中で案内を打ち切り、乃木と別れる
- その後、アディエルはジャミーンとともに現場付近へ戻ってくる
- 現場ではザイールが自爆し、アディエルはそれに巻き込まれる
- のちに、ザイールがテント側の人物であること、アディエルがベキに育てられたことが明かされる
第1話の時点では、視聴者はこの二つを知りません。知らないまま見ると、アディエルは親切なガイドで、ザイールは追い詰められて自爆した悪党です。
全部知ったあとで見返すと、同じ場面が別の話になります。
案内を打ち切ったのに、戻ってきている
この往復が、いちばん引っかかるところです。
案内を断るだけなら、そのまま帰ればいい。行けないと告げた場所へ、子どもを連れて馬で戻る理由がありません。
説明として立つのは、心配して様子を見に来たという線。ただしそれなら、最初から案内を続ければ済みます。案内はできないが、見に来ることはできる。この差に意味があります。
案内を続ければ、アディエルはその場所と自分の関係を乃木に示すことになる。だから途中で切った。関係を隠したまま、乃木の身を見ておきたかったという形です。
言えなかったことと、言わなかったこと
アディエルの立場を、いまの知識で並べ直します。
- ベキに育てられた側の人間で、テントの事情を知っている
- 乃木が向かおうとしている先は、テント側の人物がいる場所
- その人物は、テントの情報を守るためなら命を捨てる
つまりアディエルは、乃木がこれから危ない場所へ行くと分かっていて、しかもその理由を説明できない状態にいました。
止めれば、なぜ知っているのかを問われます。理由を話せば、テント側の人間だと明かすことになる。言えないまま行かせて、あとから追いかけるしかなかった。
乃木が向かった先で何が起きるかを、いちばん正確に予想できたのがアディエルです。
ジャミーンを連れていた意味
危ないと分かっている場所へ、なぜ子どもを連れていくのか。ここは素直には通りません。
説明として二つ。置いていく先がなかったか、連れていく理由があったか。
後者だとすると、ジャミーンには人の善悪を言い当てる描写が置かれています(シンシーの狙いはジャミーンなのか)。乃木に対して、ジャミーンはすぐに懐きました。
アディエルにとって、乃木が信用できる相手かどうかを確かめる手立てがジャミーンだったのなら、連れて動く理由になります。ただしこれは、能力を道具として使う見方でもあります。私は強くは採りません。
警察署長の「10分」
乃木が面会の許可を待たされる場面で、警察の側が10分も待たせやがってという趣旨のことを口にした、という指摘が出ています。
その待ち時間は、ザイールが自爆の準備を整えるためのものだったのではないか、という説です。
この見方には筋があります。待たされたこと自体を台詞で言わせているのが引っかかるからです。ただ待たせるなら、時間を口に出す必要がない。
そして、その先で起きたのは自爆でした。準備に時間が要る行為です。時間を数えて見せたうえで、時間が要ることが起きる。並び方としては噛み合っています。
ただし、面会の手続きに時間がかかるのは現実的な話でもあります。断定はしません。
ザイールの自爆が何を守ったのか
第1話のザイールは、追い詰められて自暴自棄になった人物に見えます。ところが、のちに明かされる背景を入れると形が変わります。
テントは、フローライト事業の収益で孤児院を支えていた組織でした(シンシーの狙いはフローライトなのか)。ザイールがその側の人間なら、守っていたのは自分の身ではなく、孤児院につながる情報です。
ここまでたどり着いた人間が初めてだったから、覚悟を決めた。そう置くと、10分の準備も自爆も一本につながります。
そして同じ形が、いま第2シーズンで繰り返されています。孤児院につながる情報を守るために、誰かが自分を捨てる。新庄がやったことも、野崎がやっていることも、輪郭は同じです(新庄は本当に死んだのか)。
私の結論
アディエルは、乃木を助けるために戻ってきたと考えています。案内は続けられないが、見ていることはできる。その線引きの結果が、あの往復です。
第1話は、乃木がバルカで巻き込まれる回として見られてきました。ところが背景を入れると、この回にはすでにテント側の人物が三人います。ザイール、アディエル、そしてジャミーン。
乃木は偶然そこへ迷い込んだのではなく、最初から囲まれていたことになります。第1話から、この作品は同じことをやっていました。
第15話以降で確かめる点
- アディエルの生死に触れる場面があるか。第1話で巻き込まれたあとの扱いが確定していません
- 孤児院とアディエルの関係が語られるか
- ジャミーンが人を見抜く場面が再び置かれるか
- テントのモニターの選び方が説明されるか。勧誘の時点で立場が決まる仕組みなら、チョッキーの覚悟にも説明が付きます
- 第19話まで、アディエルの生死に触れる場面はありません。
- 直接は語られていません。ただし第19話で、テントが7年前にエリシャの娘プリシャを連れ出したと分かり、アディエルが育てたジャミーンと同じ9歳だという線が出ました(若いサムライは誰か)。
- 置かれました。第17話で、ジャミーンは公安職員の写真から和久井と内通者の鈴木を指しています。
- まだ説明されていません。
ここまでの整理
- アディエルは案内を打ち切りながら、ジャミーンを連れて戻ってきている
- 止めれば理由を問われ、話せばテント側だと明かすことになる。言えないまま追いかけるしかなかった
- 警察側の10分という台詞は、自爆の準備時間として読める。ただし断定はしない
- ザイールが守ったのは自分ではなく、孤児院につながる情報だった
- 第1話の時点で、乃木のまわりにはすでにテント側が三人いた
公式で確認する
アディエルと乃木のやり取りは第1シーズンの第1話です。背景を知ったあとで見返すと受け取り方が変わります。
放送画面の転載は行っていません。公式ページでご確認ください。
配信情報
第1シーズン第1話
アディエルの表情が変わる数秒と、待たされる場面。二度目に見ると別の話に見えます。第1シーズン全10話はU-NEXTの見放題対象です。
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参考・出典
- 日曜劇場『VIVANT』公式サイト(登場人物・各話のあらすじ)
- 日曜劇場『VIVANT』第1シーズン第1話および第14話の放送内容
- 待ち時間の台詞、アディエルの動機についての指摘は、放送後に視聴者のあいだで共有されていた内容を論点として整理したものです。個別の投稿は転載していません