VIVANT2 / 長野利彦と柚木薫
長野が「愛する人」を繰り返す理由
愛する人とそらす先
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第14話で気になったのは、長野専務が繰り返した愛する人という言葉です。
一度なら、任務に人生を捧げた人物の悔恨として通ります。ところが場面の流れが厳しいところでも挟んでくる。人生相談にしては、繰り返しが多すぎます。
長野利彦について確認できること
長野利彦(小日向文世)は丸菱商事の専務で、第12話で別班員だと判明しました。乃木とは互いの正体を知らないまま同じ会社で働いていたことになります。
第14話では乃木に協力し、新庄を追い詰める場面に立ち会っています。乃木に対して、たとえ別班同士でも疑え、という趣旨のことも述べています。
「愛する人」という言葉の使われ方
長野が乃木に語りかける場面で、愛する人という言い方が繰り返されているという指摘が出ています。私は回数までは数えていないので、頻度については断定を避けます。
問題は回数より置かれる場所です。任務の話をしている最中に、この語が挟まる。文脈から浮いた言葉が繰り返されるとき、この作品はそこに別の仕事をさせています。
愛する人という言い方には、名前を出さずに一人を指す働きがあります。乃木にとってその一人が誰かは、説明しなくても通じる。指しているのは柚木薫です。
誰に向けた言葉なのか
ここで注目したいのが、長野が同じ回で別班同士でも疑えと言っている点です。
疑えと教える人物が、同じ相手に対して、一人だけは守るべき対象だという枠を与えている。疑いの範囲を広げながら、一か所だけ穴を空けている形です。
そして、経験を積んだ別班員の口から出るぶん、その枠は強く働きます。乃木に対してだけでなく、見ている側に対しても薫の潔白を保証する形になっている。
薫は本当に守られているだけなのか
薫とジャミーンには特殊作戦群の警護が付いています。そして乃木と薫の通話は、日本側に聞かれていました。
守るだけなら、通話まで聞く必要がありません。警護と監視は別の仕事です。
日本側は薫を完全には信用していない、と考えるほうが自然です。乃木との接触を通じて、薫がどう動くかを見ている。乃木は監視の道具として使われていることになります。
薫はシーズン1から、家族や経歴がほとんど描かれていません。バルカで医師として活動し、ジャミーンのそばにい続けた人物として置かれたまま、背景が空白のままです(薫とジャミーンが担う役割)。
長野とアリをシンシー側の協力者として並べた説も、別に扱っています(長野専務・アリはシンシーの協力者なのか)。
長野の目的として考えられる3つ
| 考察 | 成立する筋と、引っかかる点 |
|---|---|
| 薫は日本側の要員 | 正体を隠しているので、乃木に疑わせない必要がある。ただしそれなら通話を聞く理由が薄い |
| 薫を泳がせている | 疑わせないまま接触を続けさせ、反応を見る。警護と盗聴が同時に付いている状況と合う |
| 長野自身が薫を庇っている | 長野が別の側にいて、仲間を守っている筋。ただし第14話で乃木に協力した動きと噛み合わない |
私は2を採ります。警護と盗聴が同時に付いているという一点が、いちばん強い材料です。
薫が押さえられる筋と、シンシーが探している相手については別に扱いました(薫とジャミーンは人質になるのか/シンシーの狙いはジャミーンなのか)。
私の結論
長野は、乃木に薫を疑わせないために「愛する人」という枠をかけていると考えています。目的は薫を守ることではなく、乃木を通じて薫の反応を見続けることです。
この筋なら、長野が乃木に薫への電話を促した動きにも説明が付きます。安心させて、接触を切らさない。切れてしまえば見えなくなります。
そして、この構図が正しければ、長野の「別班同士でも疑え」は乃木への忠告であると同時に自分自身にも向けられた言葉です。疑えと教える人間を、最初に疑う必要が出てきます。
シンシーが追っているのが孤児院で育った人間の一覧だとすれば、バルカで子どもたちに接していた医師の位置は、まったく無関係とは言えません(シンシーとは何か)。
第15話以降で確かめる点
- 長野が再び「愛する人」と言うか。三度目が来れば、意図的な繰り返しだと確定します
- 長野と薫のあいだに過去の接点があるか
- 薫の家族や経歴が語られるか。空白が埋まる回が来るはずです
- 薫の通話が今後も聞かれ続けるか
- 三度目を言う場面は確認できていません。
- 描かれていません。
- 語られていないままです。
- 公安の部屋のカメラは第15話で見つかり、内通者の鈴木は第17話で拘束されました。
ここまでの整理
- 長野は乃木に別班同士でも疑えと教えながら、愛する人という枠で一か所だけ穴を空けている
- その一人は柚木薫を指している
- 薫には警護が付き、乃木との通話は聞かれている。守るだけなら不要な処置
- 目的は薫を泳がせて反応を見ることと考えている
- 疑えと教える人物こそ、最初に疑う対象になる
公式で確認する
長野と乃木のやり取りは第12話と第14話にあります。薫の通話の場面は第11話以降に散っています。
放送画面の転載は行っていません。公式ページでご確認ください。
配信情報
長野と乃木の会話
任務の話の合間に挟まる言葉のほうに注意して見ると、置かれ方が分かります。見逃し配信はTVer、第1シーズンからの見返しはU-NEXTが対応しています。
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参考・出典
- 日曜劇場『VIVANT』公式サイト(登場人物・各話のあらすじ)
- 日曜劇場『VIVANT』第11話〜第14話の放送内容
- 「愛する人」という言葉の繰り返しについての指摘は、放送後に視聴者のあいだで共有されていた内容を論点として整理したものです。個別の投稿は転載していません