VIVANT2 / AIハヤト
AIハヤトの分析は信用できるのか
外れたあとに残るもの
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第11話で、AIハヤトは情報漏洩に関われる人間を11人に絞り込みました。そこからノコルと新庄へ向かい、別班はその線で動きます。
第14話で真犯人は野崎守だと確定しました。あの絞り込みは外れています。
第17話で、AIハヤトは救出成功率を5パーセントと出し、乃木の6パーセントと並べて使われました。数字が厳しいまま、櫻井は奪還を断念しています。野崎を候補に入れなかった件は、その後も説明されていません。
この記事では、ハヤトが間違えたのではなく渡された情報の側が足りていなかったと書きました。理由が判明しています。
公安外事第4課の部屋は、監視カメラ15個のボルトすべてにシンシーのカメラが入っていました。分析にかける前の段階で、こちらの動きは筒抜けだったことになります(第15話の考察まとめ)。
AIハヤトについて確認できること
- AIハヤトは別班が使う分析用のAI。第11話で、黒須駿の居場所・拉致された別班員の素性・搬送先の病院という三つをすべて知りうる人物として11人を割り出した
- その候補には綿貫警視総監や佐野公安部長も機械的に入っていた(公安部の組織図と和久井俊作)
- 第14話では公安内部の監視カメラにも入り、人物の表情や動きを解析している
- そこで拾われたのは、新庄の死には驚いたのに、野崎の行方不明にはほとんど驚かなかったという反応
| 段階 | ハヤトが出したもの | その後どうなったか |
|---|---|---|
| 第11話 | 三つの情報を知りうる人物を11人に絞る | 綿貫警視総監や佐野公安部長も機械的に含まれていた |
| 第11話 | そこからノコルと新庄へ向かわせる | 別班はこの線でタイまで動いた |
| 第13話 | — | 新庄もチョッキーも売っていなかったと判明 |
| 第14話 | — | 売ったのは野崎守だと確定。絞り込みは外れた |
| 第14話 | 公安の監視カメラを解析 | 新庄の死には驚き、野崎の失踪には驚かない反応を拾う |
何が外れたのか
結果だけ並べると、こうなります。
- 絞り込みの先に置かれたのはノコルと新庄
- 第13話で、新庄もチョッキーも情報を売っていなかったと判明
- 第14話で、売ったのは野崎守だと確定
別班はこの線を追ってタイまで行き、新庄を拷問し、そのうえで無関係だと知りました。時間と人手を、間違った方向に使わされています。
拘束された5人はそのあいだも痛めつけられていました。外れた分析の代償が、そのまま仲間の状態に出ています。
ハヤトが出した数値を95.8パーセントとする指摘が共有されています。野崎の発言を嘘と見た数字だとされ、放送後には別班の失点として数え上げる声も出ています。5人が同時にさらわれたこと、長野専務が現場で倒れかけたこと、指令の伝達手段が置き饅頭であることなども並べられていました。
数値そのものより、高い数値が出たこと自体が判断を止めたという点が問題です。9割を超える数字を見せられて、なお疑える人はいません。
道具の精度が上がるほど、使う側は考えなくなる。この作品は、その順序を筋書きで見せています。
外れ方には二通りある
ここが分かれ目です。
- 野崎が11人に入っていた場合。ハヤトは正解を候補に入れながら、絞り込む過程で落としたことになる。分析の精度の話です
- 野崎が11人に入っていなかった場合。三つの情報を知りうる立場になかった人間が拉致を成立させたことになり、野崎には別のルートがあったという話になります
2なら、ハヤトは間違えていません。前提として渡された情報の側が足りなかっただけです。そして、そのルートを用意できる立場にいたのが佐野です(佐野公安部長は、どこまで知っているのか)。
もう一つ、可能性としてはハヤトの側に手が入っていたという線も立ちます。候補から一人だけ落とす操作は、外から見て気づけません。
別班はAIに寄りかかりすぎている
気になるのは分析内容より、使う側の態度です。
別班員は疑うことを仕事にしてきた人たちです。長野専務は乃木に、たとえ別班同士でも疑えと言いました。それだけの警戒を互いに向けながら、ハヤトが出した数字にだけは疑いを向けていません。
人を疑う組織が、道具を疑わない。この落差は作り手が意図して置いたものでしょう。入口が汚れていれば、どれだけ精密に処理しても出口は汚れます。
アリの数字はどうなるのか
ハヤトは人物の発言が本当かどうかを数字で出しており、アリについては高い数値で真実とされていた、という指摘が出ています。数値そのものは私が確認していないため、断定は避けます。
数字が正しいかどうかより、その数字を根拠に誰かを白と扱ってよいのかのほうが問題です。
絞り込みが一度外れた以上、同じ道具が出した他の結果も、そのままでは使えません。白と出た人物のほうが、いまはむしろ見返す対象です。
そして真偽の見極めは、その人が信じていることしか測れません。事実と違っていても本人が本当だと思っていれば、真実と出ます。騙されている人間は、嘘をつかずに嘘を運びます。
Fのかけらが入っているという設定
もう一点、この作品はハヤトに乃木のもう一つの人格の要素が入っているという設定を置いています。名前の重なりについては別の記事で扱いました(「ハヤト」は三度出てくる)。
ここで無視できないのは、Fが乃木を守るために動く人格だという点です。守るための判断は、正しい判断とは限りません。都合の悪い候補を外す、危ない方向へ行かせない、という働き方をする余地があります。
野崎は乃木にとって恩人でした。その名を候補から外す動機を持つとしたら、組織の敵ではなく、乃木を守ろうとする側です。
作り手側の意図として考えられること
物語の外の話も並べておきます。
この作品は、精度の高い道具を出しておいて、その道具に頼った側が痛い目に遭う流れを作りました。AIを信じすぎることへの疑いを、筋書きの形で置いていると考えるのが自然です。
第1シーズンでも同じ形がありました。監視カメラも通信記録も揃っていたのに、決め手になったのは家紋という手作業の照合でした。この作品は、機械が出した答えを人がひっくり返す話を繰り返しています。
私の結論
ハヤトが間違えたのではなく、渡された情報の側が足りていなかったと考えています。野崎はそもそも候補に入れない位置から動いていた。
そのうえで、別班の側の問題は残ります。一度外れた道具の出力を、外れたあとも同じ扱いで使い続けている。アリの結果も、他の人物の結果も、いまは仮置きの数字として扱うべきです。
そして、もしハヤトの中で候補を落とす動きがあったのなら、それを仕込めるのは外部の工作員よりも内側にいる誰かです。第三者の手なのか、乃木を守る側の判断なのか。ここは第15話以降の見どころになります。
第15話でこの線に材料が付いた
- 公安外事第4課の部屋にあった監視カメラ15個、そのボルトすべてにシンシーのカメラが入っていた
- 公安の通信も抜かれていて、野崎は日本国内から乃木へ真相を伝えられなかった
- そのため野崎はチンギスを経由して伝言を残した(第15話の考察まとめ)
部屋の映像と通信が抜かれていた組織が、その組織の使う分析装置だけは素通りしていた、という形は考えにくくなりました。
ただし一段あります。見ることと、変えることは違います。カメラは映像を持ち出す仕掛けで、ハヤトの出力を書き換える仕掛けとは別のものです。のぞかれていたからといって、答えを差し替えられていたことにはなりません。
結論のほうは変えません。95パーセントが外れたのは、渡された情報の側が足りていなかったからだと考えています。ただしハヤトに手が入っているという線は、憶測から未確認へ引き上げます。外から届く経路があることは、もう分かってしまいました。
手が入っているかを見分ける方法
出力そのものを検算する手立ては、画面の外にはありません。見るべきは名指しが誰の得になるかのほうです。
新庄を95パーセントで名指ししたことで、別班はタイへ動きました。そのあいだ、野崎から目が離れています。あの誤りで得をしたのは野崎でした。
次にハヤトが誰かを名指ししたとき、同じ問いを置けば足ります。その名指しで別班はどこへ動くのか。動いた先から誰が離れるのか。得をする人物が毎回いるなら、それは分析ではなく誘導です。
第15話以降で確かめる点
- 11人の名簿が画面に再掲されるか。野崎が入っていたかどうかで話が変わります
- 乃木がハヤトの分析を疑う場面が来るか
- ハヤトが誰の指示で動いているか。司令なのか、乃木なのか、それ以外か
- アリの発言が事実と食い違う場面。本人が信じたまま運んでいるものがないか
- 再掲されていません。
- 第17話で、救出成功率を乃木が6パーセント、ハヤトが5パーセントと別々に出しました。疑うというより、二つの数字を並べて使っています。
- 第17話では、櫻井が断念を決める材料として使われました。誰の指示で動くのかは、それ以上語られていません。
- まだ出ていません。
ここまでの整理
- ハヤトは11人に絞り込み、ノコルと新庄へ向かわせた。真犯人は野崎で、この線は外れた
- 外れ方は二通り。候補に入れて落としたのか、そもそも候補に入っていなかったのか
- 私は後者を採る。野崎には別のルートがあり、それを用意できたのが佐野
- 問題は分析より使う側の態度。人を疑う組織が道具を疑っていない
- アリの結果も含めて、いまは仮置きの数字として扱うべき
公式で確認する
11人を割り出す場面は第11話、公安の監視カメラを解析する場面は第14話にあります。
放送画面の転載は行っていません。公式ページでご確認ください。
配信情報
第11話の分析場面
候補が11人に絞られていく数十秒です。名前を止めて確かめると、第14話のあとでは受け取り方が変わります。第1シーズンからの見返しはU-NEXTが見放題に対応しています。
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参考・出典
- 日曜劇場『VIVANT』公式サイト(各話のあらすじ・登場人物)
- 日曜劇場『VIVANT』第11話・第13話・第14話の放送内容
- 真偽を示す数値についての指摘は、放送後に視聴者のあいだで共有されていた内容を論点として整理したものです。個別の投稿は転載していません