第11話 / 拉致事件
別班員5人はなぜ5か国に分けられたのか
分けられた先、道になる
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VIVANT2は別班員5人の拉致から始まりました。連行先として示されたのは5つの国です。第13話を終えても、一人も戻っていません。
ここで引っかかるのは、行き先の数です。5人を1か所に集めれば、見張りも移送も1回で済みます。それをわざわざ5つに割った。理由があるはずです。
第17話で、別班員5人はゴルバド共和国のシャキ城にそろって監禁されていると分かりました。5か国への移送は見せかけで、5か国に分けたという前提そのものが外れています。和田は第19話で殺され、残る4人の救出作戦が始まったところです(わかりやすいVIVANT解説)。
5人がどこにいるかについては、いったん答えが出て、すぐ閉じました。ゴルバド共和国のシャキ城です。ただし乃木たちが着いた時には空で、別の場所へ移送されていました(シャキ城とは何か)。
この記事が扱った「なぜ5か国に分けたのか」という問いは残ります。最終的に一か所へ集められていたなら、分散させた期間のほうに理由があったことになるからです。
示された5か国
第11話で、連行先としてアゼルバイジャン、キプロス、ジョージア、イスラエル、トルクメニスタンの5か所が示されました。
拉致された4人は、第1シーズンのテント潜入作戦で乃木の銃弾を受け、それぞれ別の病院で治療を受けていた別班員です。4か所でほぼ同時刻に連れ出されており、準備は以前から進んでいました。加えて、バルカにいたはずの黒須駿も行方不明です。
| 人物 | 連行先とされる国 |
|---|---|
| 高田明敏 | キプロス |
| 和田貢 | トルクメニスタン |
| 熊谷一輝 | ジョージア |
| 廣瀬瑞稀 | イスラエル |
| 黒須駿 | アゼルバイジャン |
誰がどこへ運ばれたかを一対一で対応させた整理が出ています。私は映像で全員ぶんを確認できていないため、未検証として扱います。
分ける理由は運用では説明が付かない
攫った側の立場で考えます。
5人を5か国に散らせば、見張りの人員は5倍、移送の手間も5倍になります。国境をまたぐたびに露見の危険が増える。運用の効率だけを見るなら、これは最悪の選択です。
一網打尽を避けるためだ、という説明はできます。ただし別班は5人を同時に奪われた側で、奪い返す力を失っています。追ってくる相手を警戒して分散させる必要が、この状況にあるとは考えにくい。
効率でも防御でも説明が付かないなら、分けること自体に目的があったと考えた方が自然です。
説1 乃木を歩かせるための道筋
5人が5か国にいるなら、追う側は5か国を回ります。移送先の並びが、そのまま乃木の移動計画になる。
実際に第12話で乃木が向かったキプロスには、アリがいました。新庄の居場所という次の手がかりが、そこで手に入っています。仲間を探しに行った先で、別の情報が待っていた形です。
同じことが残る4か国でも起きるなら、5か国は救出先ではなく順に開く手がかりの並びと考えられます。
この形は、拉致は本当に起きたのかで扱った説と噛み合います。5人の行方という前提そのものが仕組まれたものなら、行き先の割り振りも設計の一部です。
説2 5か国それぞれに別の用がある
もう一つは、国ごとに独立した目的があるという考え方です。キプロスにアリ、イスラエルに野崎の接触相手。すでに2か国で、別班員とは無関係の人物が出てきています。
残るジョージア、トルクメニスタン、アゼルバイジャンにも同じ仕掛けがあるなら、5か国は5つの別の話の入口になります。
アゼルバイジャンについては、放送前から手がかりが出ていました。公式SNSが投稿した3枚のヒント画像のうち1枚目が、アゼルバイジャンのシェキにある隊商宿です(3枚の画像)。
黒須だけ扱いが違う
5人のうち、黒須駿には他の4人と違う点がいくつもあります。
- 他の4人は病院から消えただけですが、黒須は隠しカメラの前で戦って連れ去られています
- 他の4人は第1シーズンで乃木に撃たれた側ですが、黒須は撃った側の相棒です
- 連行先とされるアゼルバイジャンは、公式SNSが先出ししていた土地です
抵抗の場面をわざわざ映像に残したのは、黒須が生きていることを乃木に見せるためだと考えています。他の4人には、そのカットがありません。
5か国を順に開いていく構成なら、最後に残すべき相手は最後に置かれます。乃木にとっていちばん取り返したい人物が、いちばん遠くに置かれている。そう並べたのだとすれば、アゼルバイジャンが終点です。
アララト山を中心に置くと形が変わる
この5か国には、もう一つ別の並べ方があります。
第12話でノアの方舟とアララト山への言及があります。ノコルの台詞から、この伝説に関心を持っていたのが乃木だけではなくノゴーン・ベキもだったことが分かります。
アララト山はトルコ東部、アルメニアとイランの国境に近い場所にあります。ここを起点にして5か国までの距離を測ると、並びの意味が変わります。
| 連行先 | アララト山からの距離 |
|---|---|
| ジョージア(トビリシ) | 約230km |
| アゼルバイジャン(バクー) | 約500km |
| キプロス(ラルナカ) | 約1,080km |
| イスラエル(テルアビブ) | 約1,200km |
| トルクメニスタン(アシガバート) | 約1,230km |
主要空港の位置から私が計算した概数です。作中で空港名が示されたわけではありません。
5か国すべてが1,300km圏に収まります。しかも5地点の平均位置は、アララト山からわずか250kmほどの場所です。中心に立てた1本の杭から、ほぼ等しい距離に5つが配られている形になる。
5地点どうしで最も離れているのはキプロスとトルクメニスタンで、2,200km以上あります。互いには遠いのに、アララト山からはどれも近い。散らばって見えるのは、中心から見ていないからです。
一点から配ったなら、分散は分散ではない
ここで最初の問いに戻ります。5人を5か国に分けるのは運用として非効率でした。
中心に集積拠点があるなら、話が変わります。一度そこへ集めて、貨物便で5方向へ配る。見張りは5か所に必要でも、指示を出す場所は1か所で済みます。
拉致された5人は、それぞれ別の国へ貨物機で運ばれました。空路で1,300km以内なら、どの行き先も2時間ほどの距離です。分散に見えて、実態は一点管理。この形なら、非効率という問題が消えます。
そしてこの中心が、ベキが関心を持っていた土地と重なります。生存説が正しく、この人物がまだ動いているなら、拠点をアララト山の周辺に置く理由があります。
第14話では今作最大の宿敵となる組織の名が明かされます(番組表に何が書かれていたのか)。テントの解体後、その理念と資源を引き継いだ何かが同じ土地にあるなら、5か国の配置はその勢力圏の輪郭ということになります。
中心に見えるのは、作品が舞台をこの地域に絞ったからだとも言えます。ある範囲に5点を置けば、その真ん中に何かは必ずある。
もう一つ、アララト山の周辺に大きな空港はありません。最も近い国際空港はアルメニアのエレバンで、約50km。貨物の集積地として使うには、国境の位置も含めて条件が良いとは言えない土地です。
東西の線で見るとどうか
5か国はばらばらに見えて、ある線の上に乗っています。カスピ海から地中海東岸へ抜けるルートです。アゼルバイジャンとトルクメニスタンはカスピ海を挟んで向かい合い、ジョージアはその西、イスラエルとキプロスは地中海の東端にあたります。
東から西へ一本に並ぶ。移動の順路としては自然な形です。
この並びは、旧ソ連圏から中東へ抜ける経路として現実にありふれています。意味を読まなくても、物語の舞台をその地域に置いたというだけで説明が付いてしまう。
強くなるのは、乃木が実際にこの順で移動した場合です。第14話以降の行き先を見れば分かります。
打ち消す材料
ここまでの話は、5か国という情報が正しいことを前提にしています。ところがこの情報は櫻井司令の口からしか出ていません。乃木は現場を見ていない。
出発点が動けば、道筋の話もまとめて向きを変えます(拉致は本当に起きたのか)。
第14話で確かめられること
- 乃木が次にどの国へ向かうか。順路があるなら、ここで形が見える
- その国で別班員が見つかるか、別の人物が出てくるか。後者なら説2が強くなる
- 5人が発見されたとき、驚いているか待っていたか。待っていたなら前提が崩れる
- 黒須がいつ出てくるか。早ければ順路の説は消える
- 5か国を順に回る展開にはなりませんでした。第16話で、送金額から割り出した座標がゴルバド共和国のシャキ城を指しました。
- 第17話で、5人はそろってシャキ城に監禁されていると分かりました。移送は見せかけでした。
- まだ救出されていません。和田は第19話で殺されています。
- 第14話で、5人とも生きている姿が映りました。
ここまでの整理
- 連行先はアゼルバイジャン、キプロス、ジョージア、イスラエル、トルクメニスタンの5か国
- 5か所に分けるのは運用としては非効率。分けること自体に目的がある
- 説1は乃木を歩かせる道筋。キプロスでアリという次の手がかりが出た形と噛み合う
- 説2は国ごとに別の用がある。すでに2か国で別班員以外の人物が出ている
- 黒須だけ抵抗の場面が映像に残されている。終点に置かれた可能性
- 5か国はカスピ海から地中海東岸へ一本に並ぶが、その地域を舞台にしたというだけで説明も付く
- アララト山を中心に置くと、5か国すべてが1,300km圏に収まる。5地点の平均位置は山から約250km
- 中心に集積拠点があれば分散は一点管理になる。ノアの方舟に関心を持っていたのはベキも同じ
- 前提となる5か国という情報は櫻井の口からしか出ていない
連行先が示された回を見る
5か国が挙がるのは第11話です。黒須が連れ去られる場面も同じ回にあります。
画像の転載は行っていません。リンク先の公式ページでご確認ください。
配信情報
黒須が連れ去られる場面
隠しカメラの映像として残された数十秒は、他の4人との扱いの差を確かめる材料になります。VIVANT2は放送終了後にU-NEXTで配信され、第1シーズン全10話も見放題の対象です。
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参考・出典
- 日曜劇場『VIVANT』第11話・第12話・第13話の放送内容
- 日曜劇場『VIVANT』公式サイト 登場人物
- 公式X(@TBS_VIVANT)(隊商宿のヒント画像について)
- 誰がどの国へ運ばれたかの一対一の対応は、視聴者から出た整理を論点としてまとめたもの。個別の投稿は転載していない
連行先の割り当てについて、私は映像で全員ぶんを確認していません。国名の5か所は第11話で示されたものです。