VIVANT2 / 長野利彦
長野専務は裏切るのか
知らぬはずの名、拾う耳
この記事には広告が含まれる場合があります。
長野利彦が別班員だと分かったのは第13話でした。ただ、それだけでは収まらない場面が第1シーズンに一つ残っています。
知らないはずの名前に、長野が反応している場面です。
二つの発言が食い違っている
- 長野利彦が別班員だと分かったのは第13話
- 第2シーズンの拠点で、長野は乃木に対して中央アジアは自分の管轄外で、詳しいことは何も共有されていないと述べている
- 第1シーズン第3話の料亭では、乃木がザイールの名を口にした瞬間に長野の表情が変わり、その男の様子と残した手がかりを立て続けに尋ねている
- ザイールはテントのモニターで、アマン建設と誤送金事件に関わった人物
第1シーズン第3話の料亭
誤送金事件で乃木が呼び出された席です。乃木は、金はすべて宝石に変えられていて、ザイールが死にアマン建設も破壊された以上、行方を追うのは難しいと説明します。
ザイールという名前が出た瞬間に、長野の表情が動きます。効果音が入り、カメラが寄る。ここを見てほしいという合図が、作り手の側から明示されています。
そのあと長野は、その男はどんな様子だったのか、何か手がかりを残さなかったのかと畳みかけます。この場面で、乃木の内側にいるFがやけに聞いてくるなと口にします。聞き方が不自然だという評価が、作中ですでに出ていたことになります。
バンコクの拠点で長野が言ったこと
第13話以降、長野は別班員として乃木の前に立っています。拠点でのやり取りは、世界を震撼させたテントを解体に導いたのが君なんだね、という言葉から始まります。
続けて長野は、中央アジアは自分の管轄外で詳しいことは何も共有されていない、テントは何を狙っていたのか、と尋ねます。乃木は、首謀者はノゴーン・ベキで自分の父親だったと答えました。
並べると噛み合いません。管轄外で何も共有されていない人物が、テントのモニターの名前には反応していた。
別班員だから知っていた、では足りない
第13話の直後、私はこの場面を長野が別班員であることの伏線として読んでいました。別班員なら、丸菱商事の役員が知るはずのない名前を知っていても不自然ではないからです。
ところが第2シーズンで、長野本人が中央アジアについては何も共有されていないと述べました。別班の中で共有されていないのなら、ザイールの名はどこから来たのか。
残る筋は一つです。別班の任務としてではなく、別の線でテントを調べていた。
隠す相手が同じ別班員である意味
決め手は、知っていたことではなく隠していることのほうです。
長野が何も知らないふりをした相手は乃木でした。乃木は同じ別班員で、しかもテントを解体した当人です。任務としてテントを追っていたのなら、いま隠す理由がありません。むしろ、持っている情報を突き合わせるべき相手です。
隠す必要が生じるのは、その調べが別班の仕事ではなかったときだけになります。
そしてもう一つ。長野は乃木に別班同士でも疑えと教えている人物です。教える側が先に実演していた、という形になります。
この説の弱点
- 役員として知っていた可能性。ザイールはアマン建設と誤送金事件の当事者側にいる人物で、丸菱商事の役員が名前を把握していても不自然ではない
- 別班は互いの任務を知らない設計。中央アジアの詳細が共有されていないのは制度どおりで、長野の発言に嘘はないことになる
- 第1シーズンの時点で長野の正体が決まっていたとは限らない。制作上の事情で説明が付く余地が残る
- 第13話で味方として合流してから第15話まで、長野が裏切る描写は出ていない
いちばん強いのは一つ目です。ただ、長野が聞いたのは金の行方ではありませんでした。その男はどんな様子だったのか、何を残したのか。人と痕跡です。
誤送金の責任を負う役員なら、金の行方から追うはずです。人の様子を聞くのは、その人物そのものに用がある側の聞き方です。
私の結論
長野には、別班に報告していない線が一本あると考えています。そしてそれは、いずれ別班と衝突します。
ただし敵に寝返るという形は採りません。長野の40年は表の顔を作るためだけに使われていて、寝返る先を用意した動きが見当たらないからです。想定しているのは、別班の指示より自分の線を優先する形です。
第2シーズンの敵は、テントの残りを欲しがっている組織でした(シンシーとは何か)。長野が個人でテントを追っていたのなら、二つの関心は同じ方向を向いていることになります。
これから確かめる点
- 長野がテントについて、別班以外の誰かに報告する場面が出るか
- ザイールの名を知っていた理由が、作中で説明されるか
- ドラムが襟元に触れた場面(長野専務はバルカにいたのか)が回収されるか
- 愛する人という言い方の相手(長野が「愛する人」を繰り返す理由)が判明するか
- シンシー側の協力者という筋(長野専務・アリはシンシーの協力者なのか)と接続するか
- 描かれていません。
- 説明されていません。
- 回収されていないままです。
- 分かっていません。
- つながっていません。第17話で、長野は乃木を後押しし、自分のエージェントのゲルンを一団へ出しました。
ここまでの整理
- 長野は第2シーズンで中央アジアは管轄外、何も共有されていないと述べた
- 第1シーズン第3話ではテントのモニターの名に反応し、人と痕跡を尋ねている
- 問題は知っていたことより同じ別班員に隠していること
- 隠す理由が立つのは、その調べが別班の任務ではなかった場合だけ
- 私は長野が別班の指示より自分の線を優先すると考えている。作中の裏づけはまだない
公式で確認する
料亭の場面は第1シーズン第3話、拠点の場面は第2シーズン第13話です。
放送画面の転載は行っていません。台詞は放送内容の要約です。
配信情報
二つの場面を並べて見る
第1シーズン第3話の料亭と、第13話の拠点。続けて見ると聞き方の差が分かります。第1シーズンからの見返しはU-NEXTが見放題に対応しています。
関連する記事
参考・出典
- 日曜劇場『VIVANT』公式サイト(各話のあらすじ・登場人物)
- 日曜劇場『VIVANT』第1シーズン第3話、第2シーズン第13話ほか各話の内容
- 台詞は放送内容の要約であり、一字一句の引用ではありません