構造分析
第2シーズンは第1シーズンを
反転して繰り返している
第13話まで見て違和感を覚えた人は多いはずです。この展開、どこかで見たことがある。
既視感の正体はこれです。第2シーズンは、第1シーズンと同じ構造を左右反転させて再演しています。
対応表
| 第1シーズン | 第2シーズン |
|---|---|
| 野崎が乃木を追いかける | 乃木が野崎を追いかける |
| 乃木が別班の仲間を撃ち、テントに潜入した | 野崎が仲間を売り、どこかへ潜入している(可能性) |
| ノコルにとって親友だったゴビが、ノコルを裏切った | 乃木にとって弟のような黒須は、どうなるのか |
| アリ(テントのモニター、尋問を受ける) | 新庄(テントのモニター、尋問を受ける) |
| 山本巧(丸菱のモニター、排除される) | チョッキー(元モニター、確保される) |
| ベキが上原を狙う(公安への復讐) | 上原が襲撃される(第2シーズン) |
最後の行は特に重い。第1シーズンでベキが標的とした上原は、内閣官房副長官であり元公安部外事課の人物でした。同じ姓の上原史郎が第2シーズンのキャストに「公安部に連なる人物」として名を連ね、そして襲撃されたとされています。公安への報復という主題が、二度繰り返されていることになります。
この見方が効く理由
一つずつは偶然に見えます。しかし1行目と2行目が同時に成立していることが重要です。
第1シーズンで乃木は、仲間を撃って敵の懐に入りました。視聴者はその時点で乃木を疑い、後から意味が反転した。まったく同じ形が、今度は野崎で起きています。
作品がこの手を二度使うなら、答えも同じはずです。つまり野崎は潜入している。潜入説を構成の面から支えるのが、この対応表です。
ただし単純な繰り返しではありません。第1シーズンでは、乃木は撃つ前に相手を選んでいました。死なせないための計算があった。
野崎の場合、売られたのは別班という組織そのものです。個人ではなく仕組みを差し出している。規模が一段大きい。同じ形でも代償が違います。
黒須をめぐる懸念
対応表でいちばん不吉なのが3行目です。
第1シーズンで、ノコルは親友のゴビに裏切られました。フローライトの採掘権をめぐる話で、ゴビはワニズと結託していた。親友による裏切りは、すでに一度描かれています。
乃木にとっての黒須は、ノコルにとってのゴビと同じ位置にいます。誰よりも慕う相棒。そして第2シーズンは黒須の拉致から始まりました。
拉致された人間が戻ってきたとき、同じ人間とは限りません。この構造が反転して繰り返されるなら、黒須が乃木の側から離れる展開が用意されている可能性があります。
根拠は薄いので憶測にとどめます。ただし作品が「大切な人の裏切り」というモチーフを反復していることは、第13話で証明されたばかりです。野崎がそうでした。
反転していないもの
公平のため、当てはまらない部分も書きます。
- 第1シーズンの舞台はバルカ中心。第2シーズンは5か国以上に分散しており、地理的な構造は反転ではなく拡散
- 第1シーズンの敵はテントという明確な組織。第2シーズンの敵はまだ姿が見えていない
- AIハヤトのように、第1シーズンに対応物がない要素も増えている
つまり人物関係は反転、世界は拡張という構図です。同じ人間関係の型を、より大きな盤面で繰り返している。
この読みの使い方
対応表は予測に使えます。第1シーズンで起きたことを反転させれば、次に起きることの候補が出るからです。
第1シーズンの終盤で何が起きたか。乃木が父を撃ちました。反転させると、乃木が撃たれる側になります。あるいは、撃つべき相手が父ではなく兄のような存在に変わる。
どちらにせよ、最終盤で乃木が銃を向ける場面は用意されているはずです。向ける相手が誰かは、最終話の予想で扱いました。
配信情報
第1シーズンと並べて見る
この対応表は、第1シーズンの該当場面を思い出しながら見ると効きます。第1シーズン全10話と第2シーズンはU-NEXTで見放題配信されています。
出典
- 日曜劇場『VIVANT』第1シーズン・第2シーズン第11話〜第13話の放送内容
- 日曜劇場『VIVANT』公式サイト 登場人物
- 構造の対応という着眼点は、SNS上で共有されていた論点を再構成したもの。個別の投稿は転載していない